多い腕
草野春心



  右腕や左腕やどちらでもない腕などがそこに浮かび、
  かえってきたのか向かっていくのか全然わからないが
  アルミ製のサッシ越しに月面の色でくりかえされている
  気は確かだ気は確かだ気は確かだ気は確かだ気は、確かだ
  いやそれとも先刻の俄雨の残像たちが目にも留まらぬ速度で
  俳句にされつつあるだけなのだろうかあなたの心で




自由詩 多い腕 Copyright 草野春心 2016-06-09 21:46:12
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