或阿呆の一生
ハァモニィベル



(或阿呆の一生)が、それでも
まだかなりの時間 残ってる。
所詮は、
断章に過ぎずとも
初恋の
Cleopatra の鼻すらも、
もう思い出せもしなくとも
地球の表情は、いったい
どうなってるか?
それを気にして
 「人間を研究するひとは、
  幾何学を研究するひとよりも
  遥かにずっと少ない」
ひとは、自分も他人も知りたくはなくて
地球の表情は、それでも
どうなってるか?気になってる。



けものが天使のふりをしていた。
ワイドショーがそう言ってる。
「〈私〉とは憎むべきものだ。ミトン君、・・・」
(だとすれば、
 ぼくは 〈私〉 を
 やはり憎みつづける)
縛られぬ精神を謳歌する囚われたこの身で
雑踏の鎖に巻かれて
何も言わずにいる 〈私〉 のうたに囲まれながら



夜明け前の地震で起こされるとき
並んでいる壜が、すべて床に落ち
粉々に割れるのを見たら
僕の心は、その時はじめて飛ぶだろう。

起き上がって
服を着るまでのあいだが
いつも、そのときだけが、
僕である時間だったのを
忘れて

















.《 2016年6月8日/或阿呆の一生/ハァモニィベル 》


自由詩 或阿呆の一生 Copyright ハァモニィベル 2016-06-08 20:30:15
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