老人と少年
星丘涙
老人は夢を見ている 少年を見つめて
遠い日の自分に重ねて 夢を思いだしている
少年も老人の優しさを慕っている
でも知っていた 儚き命の終わりを
何時も白い砂浜を一緒に歩いていた
黄昏の季節と 春の始まりの季節が
少し悲しい 老人と少年
老人は冬の始まりを知っていた
だから少年に温まっていたのだろう
少年も最後の夏の日を知っていた
だからそばにいた 何処までもついて行った
夕日に染まりながら 二人は何時も海を見つめていた
黄昏の季節と春の始まりの季節が 寄り添っていた
老人と少年
夏の最後に老人は船に乗り泣いていた
もう一緒にいられないと悟ったのだ
少年も泣いていた さよなら・・さよなら・・・
老人は水平線に船を出し天国に昇っていった
少年は大切な温もりを老人に教わり
長い旅路を優しさと共に歩いて行くのだろう