その次の人
竜門勇気
腐った蕪をかき分けて
一人の時間を食べている
冷めたスープの鍋の底
緑の葉っぱがこげている
こどものひとりのアドバイス
あなたには無駄が宝物
散歩のついでに憂鬱を
紐に繋いで引きずった
亀の甲羅を食べながら
どこかで小さな飴玉を
胸のポケットに盗んでる
近くにあった山の上
あの子の夢を忘れてる
隣の家の生け垣に
溶けた自分をひとしずく
何度も夜にぬけだして
だまって空を眺めてる
ともだちのことばを喋ってた
誰かになれるおまじない
あたまに蝶がとまったら
首尾よく進むいい兆し
亀の甲羅を舐めながら
どこかで買ったビー玉を
池の底に流してる
取り返せない夜の上
あの子の夢を忘れてる