その次の人
竜門勇気


腐った蕪をかき分けて
一人の時間を食べている
冷めたスープの鍋の底
緑の葉っぱがこげている

こどものひとりのアドバイス
あなたには無駄が宝物
散歩のついでに憂鬱を
紐に繋いで引きずった

亀の甲羅を食べながら
どこかで小さな飴玉を
胸のポケットに盗んでる

近くにあった山の上
あの子の夢を忘れてる

隣の家の生け垣に
溶けた自分をひとしずく
何度も夜にぬけだして
だまって空を眺めてる

ともだちのことばを喋ってた
誰かになれるおまじない
あたまに蝶がとまったら
首尾よく進むいい兆し

亀の甲羅を舐めながら
どこかで買ったビー玉を
池の底に流してる

取り返せない夜の上
あの子の夢を忘れてる



自由詩 その次の人 Copyright 竜門勇気 2016-06-08 02:13:07
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