死者の書
梅昆布茶
初めて君に遭ったとき
君の瞳によぎった喜びの表情を
俺は見逃さなかった
人生で与えられる物は少ないが
創造という風をいつかつかまえることができたら
上出来な人生といえるだろう
醗酵しない人生は
水面に稀薄に拡がる油膜のようなものだ
孤独は魂のきらめきを高めるが
ときに愛のベクトルをコントロールできかねて
人は堕ちてゆく
渋谷駅前の雑踏で俺は夢をみる
それはそれは薄汚い夢でも
それだけは俺の物だ
俺の頭はすくなくとも今朝は澄み切っている
いつも腹ぺこのハイエナではないんだ
きみを愛することも出来るし貪ることも
俺は君に永遠に届かない
長い長い手紙を書こう
それは歴史書であり哲学でもあり
死者の書でもある愛の詩にすぎない