はざま 真昼
木立 悟





まどろむたびに言葉は減り
空をゆくものは増えてゆく
雨涸らす雨
雨散らす雨


こがねいろの輪の上を飛び
冬空にひとり立つものが
野を分ける径を見つめている
踏みつけられたまま差し出される花


屍のような舟が
岸辺を覆いつくしている
青空と水
無口な波


ふいに降る鳥の声
網を揺らすしじまの径
どこにも着かず引き返す
渡すことを諦め こぼれ落ちる銀


叫びの半分の鏡から
薄い魂の重なりから
部屋に満ちる天球儀
四角のなかを廻る蒼


曇色の羽が壁伝いに落ち
土につく前に消えてゆく
窓の向こうの光たち
遠い雨からとどく風


差し出される花
こぼれ落ちる銀
人のかたちの蜃気楼の群れ
鳥の影に立ち止まる瞬


何年も動かぬ街に陽があたり
凪の波の影はのび
いつか巨大な標となって
地に降りることのないものを導いてゆく































自由詩 はざま 真昼 Copyright 木立 悟 2016-06-06 20:09:38
notebook Home 戻る