夜と春に捧ぐ
TAT









犬がイカれちまった








じつにぼくは二千四百円の損害だ
ぼくは二千八百円の損害だ







狸穴から鍵穴峠を抜けて
第四ジャンクションに出る頃
時速は260を越える
『べタ踏み』
文字通り床にガッツリ踏みつける
轍を焦がしながら死と遊ぶ
カーブも赤も関係ねぇな
大きく膨らんでガードレールを破って
海に飛び込んじまうとしても




It is it .



それはそれ





どうも変な家だ
どうしてこんなにたくさん戸があるのだらう






育ちが悪いんです要は
唄の文句でもあるでしょう


口が大きくなっちまった
目が小さくなっちまったって




死んでひしゃげたっていい
今死んでもいい




炎をくれ





マンションの鉄扉を叩いて出てきたお前を捻じ伏せて

コンドームも付けずにSEXをするのが関の山の人生だとしても








死にたい
死にたくない
死にたい
死にたくない
死にたい
死にたくない









はゝぁ何かの料理に電気をつかふと見えるね

金氣のものはあぶない

ことに尖ったものはあぶないと斯う云ふんだらう











仏光寺の細道を音速で抜けて

堀川を上る上る上る


二条城を左目に


戻り橋の人外を振り切って




北大路より上




岩倉よりもっと北








車輪が焼き切れる迄フルスロットルで涅槃に向かう





しくってアスファルトに叩きつけられるその直前に



銀河鉄道が俺にロープを投げてくれる





シリウス行の便だ

二等の席だ











ヘヴン烏丸上る東入る

ロックンロールはもう死んだ町6-5

クリームをぬれといふのはどういふんだ



この香水はへんに酢くさい
どうしたんだらう








僕らは太陽を崇めた
俺らは月を信じた
私達は夜を奉った




誰かを笑い
自分が優位に立つ為に



得するために
損しないように




どうもをかしいぜ

ぼくもをかしいとおもふ






沢山の注文といふのは
向ふがこつちへ
注文してるんだよ















ドクロが首から真っ逆さまで


言わんこっちゃない





さっさと招待状を書け





うわあ

がたがたがたがた
















だめだよもう気がついたよ
塩をもみこまないやうだよ










鍵穴から大きな瞳が覗いている

俺はそれに射貫かれて







てんで勃起しない






まるでがらんどうだ





上の空の旭は





いつも他人色の空

よそ様の























詩は


神様みたいに偉そうな口をきかないから

俺は詩が好きさ




























自由詩 夜と春に捧ぐ Copyright TAT 2016-06-04 23:31:00
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