嘘つき
ヒヤシンス
黒いドレスを纏った貴婦人が僕に手招きをする。
ミッドナイトパープルのスーツを着た紳士が僕に目配せをする。
あらゆる人が僕に甘い言葉を囁きかける。
そして僕はまた一つ嘘をつく。
月夜の晩に青いバラが咲く。
チューリップは僕の手に負えそうにない。
虫除けに植えたハーブも役に立たない。
誰の目に触れずとも僕は見ているよ。
目覚ましのブルーズも今の僕には眠いだけ。
泣きのギターも耳障り。
目覚ましのブルーズで二度寝する。
嘘つきの僕は誰よりもアンテナを張っている。
もう騙されるのは懲り懲りだ。
そして僕はまた一つ嘘をつく。