死顔
レタス
山の彼方の遠くから
ほら貝と鈴の音が聞こえている
白装束に包まれ
神妙と横たわる私を
私は見た
父母の往ってしまった世界からではなく
中空の狭間に漂って
その屍を見ただけのこと
痛くも無く
悲しくも無く
ただじっと私の遺体を眺めているだけだった
やがて
シャラリ シャラリと
あの世からの迎えは来るだろうと
少し冷たい予感が走る
極楽か地獄往きの切符はまだ貰っていないのだ
どうして良いのか解らずに
涙を流す妻に接吻をし
友の寝顔を眺め
姉に別れを告げようと飛んで行った
次第にはっきりとした
あの世の音色が
私を迎えに来ている
点滅する紅いスイッチはもうすぐ消えるのだろう