あなたへ、

人の顔を見るのが怖かったね

中心にポッカリと空いたブラックホールに吸い込まれて
2度と帰れないと思っていたね
きっと宇宙の中に私はいないと思っていたね

臆病な虹、

あなたへ、

名前を呼ぶことをためらったね

私の言葉は酷く透明で
誰にも届かないと妄想していたね

くだらない兎、

あなたへ、

さんざん聞いたあと、自分のことを話すことを諦めたね

きっと自分のことなんて一ミリも聞きたくないと、そうやって
自分自身を勝手にタンスに隠したね

嘘つきのカップケーキ、

あなたへ、

今はどうやって生きていますか

今はどうやって考えていますか

ちゃんと呼吸はできていますか

あなたへ、

産まれてきた意味は人生の畦道にあるものです
歩かなければ意味はないのです
あなたはもう、自分の心臓を手に入れました

あなたへ、

強く、生きてください。