五月の惑星
塔野夏子
夜の中空に
五月の惑星がある
果実のようにある
そこからぽとりと垂れた雫のように
君が目のまえにあらわれた
などと
君のことを詩に書いてみても
五月の夜気はどこか水のようで
だから言葉たちは書くそばから
にじみあがって宙へと
消 え て し ま う
いつしか
五月の惑星のまわりに
ひと群れの螢がまつわっている
自由詩
五月の惑星
Copyright
塔野夏子
2016-05-23 11:41:16