佳日邂逅
平瀬たかのり
ぼくは今日ハローワークに行った
あさっての面接の段取りをつけ
神社にお参りをしてうまくいくように祈った
(苦しいときの神頼みだね)
帰りのバス停ベンチに座って
コンビニおにぎり二個一九八円のパックを開けた
ぼくから少し離れたところで
女子高生がひとり
立って教科書を開いていた
一生懸命読んでいた
ぼくは梅おにぎりを
〈お~いお茶〉で流しこみながら
彼女を見ていた
「わっ!」
「きゃあ! もうびっくりしたぁ!」
ともだち登場、笑顔の花が咲く
ぼくは鮭おにぎりを
〈お~いお茶〉で流しこみながら
彼女たちを見ていた
ぼくも二人も同じバスに乗った
スポニチを開いて
昨日のタイガースサヨナラ勝ちを読む
後ろで二人は楽しくきゃらきゃら話している
もちろんぼくはエロ面に目を通したりなんかして
バスが止まる
教科書の彼女が席を立つ
「じゃあ 明日がんばって」
「うん ありがとう」
二人手をふりあって
教科書の彼女がバスを降りていく
「わっ!」の彼女も終点までに降車してしまった
ぼくは二人の会話に
聞き耳立てていなかったことを
少し後悔しながら、スポニチをたたんだ
あさってが
今日のような佳い日でありますように