庭園
ヒヤシンス


 雨上がりが匂う緑の庭園で小さな世界は広がる。
 ピアノの音色が淡い世界に色付く。
 胸に抱えた定かでない悩みは昨日へ消えてゆく。
 私はただ黙々と小さな勇気を今日という日に積み重ねた。

 庭園に咲く薔薇は例えようもないほど紅く、
 生への鼓動をこの胸に植えつける。
 明け方の息苦しさは日の光と共に薄れ、
 清々しいほどの午後の風が私を撫ぜる。

 小さな世界で私は傷付く。
 小さな世界で私は色付く。
 愛すべき庭園は秒単位で私を癒してゆく。

 いつでも淡く霞んでいる私の庭園に
 ときおり原色が浮かび上がる事こそ、
 自身の存在価値と私は信じる。
 


自由詩 庭園 Copyright ヒヤシンス 2016-05-18 06:48:41
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