庭園
ヒヤシンス
雨上がりが匂う緑の庭園で小さな世界は広がる。
ピアノの音色が淡い世界に色付く。
胸に抱えた定かでない悩みは昨日へ消えてゆく。
私はただ黙々と小さな勇気を今日という日に積み重ねた。
庭園に咲く薔薇は例えようもないほど紅く、
生への鼓動をこの胸に植えつける。
明け方の息苦しさは日の光と共に薄れ、
清々しいほどの午後の風が私を撫ぜる。
小さな世界で私は傷付く。
小さな世界で私は色付く。
愛すべき庭園は秒単位で私を癒してゆく。
いつでも淡く霞んでいる私の庭園に
ときおり原色が浮かび上がる事こそ、
自身の存在価値と私は信じる。