迷宮
梅昆布茶
届かぬ手紙を携えたまま僕たちは彷徨する
どこかの洞窟の壁に刻み付けられた
忘れ去られた古代語の詩と
生きるということの目印をもとめて
新宿東口の地下街は果てしなく荒寥に染められて
彼方此方に過去と未来という地上への穴が
ぽっかりと霧のかかった口をあけているが
どれがほんとうの現実につながる連絡路なのかは
未だに誰も知らないまま無数に人の頭が流れてゆく
豊かさとは専有するものではなく
共有すべきものであることを
マルキストでもなく
それを普通におもう自分でいつまでもありたいものだ
いつも美しい物だけに囲まれて生きる訳にはゆかないだろう
たとえ汚物に塗れ頭が七つに割れ眼球を刳り出される痛みが生きることの一部だとしても
なぜかまたふたたびこの迷宮に立ち戻りたいとおもうのだ