五月の風は
さみどり色
手紙を運んでくるよ

硝子の馬車のお姫様
脱走中
花びらの靴脱いで
軽やかに

ミツバチが忙しすぎて
シッターさん募集中
海の子守歌を
十は知ってる人がいい

アンズが小さく実を結び
リンゴも桃も
穏やかな夕暮れの音符
小枝にぶら下がりダンス

風の馬の王子様
追いかける
若枝の鞭しなり
颯爽と

ぽわんと行き止まり
五月の宵の星曇り
そっと手を広げ
みんなを抱き上げた

かわいいかわいい私の子たち
烈しい夏や
憂いの秋や
寂しい冬を
迎えられるか
心配で心配で
若草で編んだ丈夫な靴を
銀の星で飾った靴を
一揃いずつ
あげました

それから王子とお姫様
星空の中
そっと手をとり見つめ合い
にっこり笑いあい

御者がしたためた二人の行方を知らせる手紙は
五月のやさしい雨に濡れて
消えたとか
消えないとか