真夜中の恐怖
ひだかたけし
落ちる白い壁、この真夜中
沈黙の充満、物という物
剥き出しに在り
全てが均一に在るという
無機の死の奈落
無言の虚無の生々しい幻の告知
そうして俺はこの胸の広がりゆく空洞を抱え
物質という無常の界に未だしがみつくのか
沈黙の充満、奈落の虚無に方位を失い
滲み出す未知に盲目であるが故に
対峙する魂の意志の強度を欠く故に
ー愛の方途を喪失した今なら
満身創痍の肉体だけ残った今なら
全て放棄してしまえばいいだろうが
この真夜中、白壁の剥離する
物という物の侵入が始まる
この俺の脈打つ脳髄へ
襲撃は次から次へと