聞こえる
坂本瞳子
けたたましくも激しいこの静寂は
誰のものでもなく
押し寄せる濁流となって勢いを強め
驚愕の声を上げることもできず
もがき、腕を伸ばし、膝は曲がり、四肢が捩れ、足の指を広げようと
抗いはするけれど
埋もれてゆく
ただ
埋もれゆく
やがて涙は枯れ
涎も尽き
自らの目蓋が重くのしかかって来る
鼓動のみが響く
決して脈ではなく、鼓動のみが
そして知る
思い通りにならないこともあるのだと
自由詩
聞こえる
Copyright
坂本瞳子
2016-05-05 01:25:36