心の肩
あおい満月

目を瞑ってはいけない、
口を開いてはいけない、
手の足の動きを止めてはいけない。
あなたはそうやって、
私の心の肩を切り落としていく。
そうして切り落とした肉を、
壁中に張りつけて。
あなたの三日月が、
不気味に歪んで、
からからと鴉の鳴き声のような、
笑いを響かせる。

ケバブのように切り取られた私は、
声なき声を壁にぶつける。
あなたは私の肩肉を、
プレートの上で焼き、
仲間にわけあたえては、
酒を酌み交わしている。
あなたは常に的を私に当て、
きっと、喉を打ち破ることを願っているのだろうか。

あなたの机の上には、
空き瓶がいくつも転がっている。
あなたをよく知る仲間は、
あなたの腕を切り裂いて、
皮膚に虫の絵を描いて楽しんでいる。
あなたも見えない場所で、
誰かの餌食になっている。
あなたは気がつかないまま、
今日もスカートの裾を、
ハンカチのようにひらつかせている。
私の肩を養分として。




自由詩 心の肩 Copyright あおい満月 2016-05-04 10:37:59
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