珠玉
レタス

一滴の滴が山に落ちて
やがて渓を渡り
大海に流れ落ちてゆく

透明な魚たちの飛翔にまなこを落とし
明日を占い
龍脳の墨を摺り
静かに筆を走らせ過去をなぞる

今年も若葉は季節を知り
深山を満たしてゆく

遠い山に想いをはせて
手のひらのエメラルドは何をか語る

火星産のルビーは闘いの予感に弾けそうになり
木星の真珠がそれを諫めた

闘いなどに意味は無い
濁った命などは捨ててしまえ

私の手のひらの珠玉がそう呟いていた


自由詩 珠玉 Copyright レタス 2016-05-04 03:45:22
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