バンパイア
レタス

その男の肢体は鋼のように締り
青い瞳を漂わせていた
邦人なのか欧米人なのかはわからない
琥珀のグラスを時折傾け
銀貨をクルクルと弄び
紫煙の煙るカウンターに眼を落していた

背中は氷のように冷たく
時折吐く息も凍っていた
孤独に支配された眼光の鋭さは人を寄せ付けず
大粒のガーネットのカフスがその血筋を表していた

その男は静謐と凶暴さをそなえ
静かに銀貨を弄んでいる

俺は酔いの刹那に垣間見た
尖った耳を
鋭い八重歯を

男は棲む処も無いのだろう
孤独に支配された時間を過ごしながら
見えない獲物を探し
青い瞳がキラリと光る





自由詩 バンパイア Copyright レタス 2016-05-01 00:50:25
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