ファの過ち
藤鈴呼

木漏れ日を浴びるには 少し遅い季節
ヒーターの温もりで 身体の冷えを治すように
カーテンの向こうに光る 太陽を 連想している

電線の後が 唯一の文様
横に長いのは キレやすい 私のため
たゆたう波のように 穏やかに 息なさいと
窘められて いるかのように

ゴロゴロと 鳴るのは 冬の海に 轟く 雷
イカズチ カナヅチ いかずごけなら まかしとけ
ここで 笑っていれば
その内 おなかがすいて
胃袋までもが コロコロと 自己主張する

そこいらで 可愛がられたいのと嘆く にゃんこのように
ねぇ 知ってる? フェイクファーなら 問題ないわ
問題なのは リアルファー

生き物たちが 悲惨な状態で 捕獲されるんですってよ
そういうことを 知らないままで コマーシャルを 眺めては
ああ これ あったかそうねって
値札ばかりで 値踏みして 足踏みしながら 
冷えた心を あたためるべく
身体に 毛皮を 羽織るのね

ねえ あたたかいでしょう?
誰かが 語った後釜
米粒が 何度 固くなったって 平気
レンチンすれば
何度だって あたたかく 蘇るんだもの

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自由詩 ファの過ち Copyright 藤鈴呼 2016-04-29 00:57:26
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