春夜
星丘涙

空を見上げると 月光に照らされる小梢たち
 
私の心に 命の塊が囁きかけてきて 思わずため息がこぼれる

もう何回この季節を歩いたのか・・・・
 
ふと 故郷を思ってしまった 私を形作った故郷を そして父と母を・・・
 
きっと祝福も 呪縛も あそこから始まったのかもしれない
 
でも 今夜は もう一度生まれ変われそうなそんな気がする
 
原点の抑圧を 振りほどいて 私は 私になるのだ
 
そんな早春の夜 星座を見上げ 眩暈をかんじた
 
この世界の作られる前から 私はこの夜を歩くことになっていたのだろう
 
神様はこの時代に 私を 母の胎の中で形作り この世に送り出した
 
不器用に 愚かな歩みを繰り返し 生き恥をさらして来た・・・
 
夜花の香りが闇の中を漂う 素肌に銀の糸が絡まり心地よい

これで良かったかもしれない・・・
 
あとは息を整えながら ゆっくりと歩くだけだ 

無駄に罪悪感に縛られることなく

私は 残りの時間を のんびりと自由に生きて行こう
 
早春の夜 幾つもの春を振り返りながら ふと思った・・・ 


自由詩 春夜 Copyright 星丘涙 2016-04-28 21:48:34
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