風景
あおい満月

思念の淵で息をしている、
私の息づかい。
耳から流れ込む、
目の海の水を、
飲み込んでは吐き繰り返しながら。
呼吸が荒くなる。
海になった私の指から、
あふれてくる思いを、
窓硝子に叩きつける。
手探りをする言葉たちが、
繋いでいく星座は、
果てることのない銀河になる。

感情を抱いた皮膚が抗うのは、
水を含んだ湿った風が、
その髪を撫でるからで、
思いが物語を孕むまで、
膨らんだ私の思念の進む先を、
阻もうとする。

抱えきれない荷物を抱いて、
階段を昇るような道を歩いている。
(もっと、楽になりなよ)
と誰かが肩を叩く。
背負うものをなくしたら、
自由という壁を持たない、
重い何かが倒れ込んできた。

息づかいがはじまる。
指先がしびれて、
見たことのない、
懐かしい風景が拡がる。

雨が、
地を殴っていく。



自由詩 風景 Copyright あおい満月 2016-04-17 19:47:59
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