桜の木の下には
TAT















































春はいつも落ちる
鬱なんですか
躁なんですよ
行間なんか空けちゃって
文藝気取りな訳ですよ
裸足でコートの襟を立て
カタカタ震えて歩いていたら
いつの間にか風は寒くなくなっていて
嘘みたいな温度だ
幻じみた世界だ
一息つけって
本当に?
待てそのスターバックスの女神様は
何だか僕らを誘ってないか?




多分成し遂げてないから苦しいんだ
勝ってないのに終了の笛が鳴っちゃった気分
卒業して入学して就職して配属されて
あれ?
がまくんはどこいった?
ずっといっしょだったのに


大きな大きな世界が
忘れろ忘れろと言っている
進め進めと背中を突いてくる
次のICで落ち合えるさ
次で無理ならその次で
そう言ってパスポートをこちらに投げ返してくる



不備も問題も特記事項も無し







春はさよならで
大砲でどーんといかれてイノチキズが開いちまったぜどてっ腹にな
春は初めましてで
ノドが渇いてドキドキ苦しくなってくる




ママのスペシャルランチボックスが切ない





風に流れたピンクが泥に曝されて

可も不可も自己責任な無垢な一日一日が
他人のように積み上げられてゆく

僕らはエンジンをかけなくちゃならない
モーターの紐を引いて
或いはラクダのお尻を蹴っ飛ばす
バケツに血と泡を吐いて
ワセリンを塗られマウスピースを噛まされて
肩を叩かれて椅子を片される

やがて夢中でやっていると
どうにか打ち解けて夏が来て
どうにもこうにも過ちを犯す
秋に気が付いて
冬にひざまずく訳だ
それの繰り返しさ



春はいつも落ちる




どうしてみんな怖れを乗り越えてコートを脱げるんだろう
新しいコートが手に入る保証なんてないのに




ただ生きる気乗りがしない事にどんな意味があるだろう





やるだけだ
やるだけさ
ゲートがありレーンが用意されている限りは
じゃなきゃ伊藤計劃とかに申し訳ない



































自由詩 桜の木の下には Copyright TAT 2016-04-10 17:05:22
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