白い花
もり
きみにもたぶん
色んなことがある
公転と自転をくり返し
わけがわからなくなる日ばかりで
砂時計を抱きしめたまま
大気圏を突破すると
今度こそ本当に笑うよ、と言う
その顔がすでにすてきすぎた
白衣を着たチンパンジーと
ハイタッチを交わす
0.1秒の
サブリミナル
だから
目を開けていようよ
最高気温22℃予報の日に
窓から雪が落ちた
「コブキの花だよ」
日付変更線をこえて
「あの花名前なんていったっけ?」
「コブキの花だよ」
しなだれたのは
なにを背負ったからだろう
握られた拳のなかに
「コブキの花だよ」
白い花
ふたりが 手をつなぐ日は くるか
逃げたことで
ひたすらに逃げたことで
皮肉にも また向き合ってしまって
出会ってしまったふたり
送られてきた 写真
「あなたが植えた、水仙の花だよ」
「あなたが植えてくれたんだって、
喜んでいたよ」
思い出す
蚯蚓の世界を侵略した日
雑草のように生きたいと願ったあの日
そうして詩を書いたんだったね
そういや あのときも逃げてたね
ね