煩悩
レタス

天界の桃を食べてしまったのは
大きな間違いだった
帝釈天は怒り
死ぬことのできないぼくは
闘いを続けなければならない

ほんの少しの過ちは
誰にでもある事なのに
後戻りができないことがある

毎日命の結晶を奪いながら
過ちを繰り返してゆく

なんということだ!

煩悩から解き放されるのは何時のことだろう

今日の昼食は血のしたたるレアステーキで
筋肉の境目を冷酷に解体したのだ
薄い唇に唾液を湛えながら

その一口が牛の命に繋がっているのを知っている

慈悲は何処へいった!
優しそうな顔をぶら下げて
真実は殺戮を繰り返している

満足と飢えの狭間に漂いながら
生きている疑問符をぶら下げて
みっともない影を落としている



自由詩 煩悩 Copyright レタス 2016-04-05 23:55:31
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