煩悩
レタス
天界の桃を食べてしまったのは
大きな間違いだった
帝釈天は怒り
死ぬことのできないぼくは
闘いを続けなければならない
ほんの少しの過ちは
誰にでもある事なのに
後戻りができないことがある
毎日命の結晶を奪いながら
過ちを繰り返してゆく
なんということだ!
煩悩から解き放されるのは何時のことだろう
今日の昼食は血のしたたるレアステーキで
筋肉の境目を冷酷に解体したのだ
薄い唇に唾液を湛えながら
その一口が牛の命に繋がっているのを知っている
慈悲は何処へいった!
優しそうな顔をぶら下げて
真実は殺戮を繰り返している
満足と飢えの狭間に漂いながら
生きている疑問符をぶら下げて
みっともない影を落としている