研粒なくとも雨は削る
北村 守通

雨が削る
雨が砕く
花を削る
花を砕く
石を削る
石を砕く
心を砕く
心を削る


  足が重くなって
  ふと歩くのを止める


雨が削る
雨が砕く
花を削る
花を砕く
砕かれた残骸が
アスファルトにしがみつく
砕かれた残骸に
叩きつける
叩きつける
雨が叩きつける
雨が叩きつける


  張り詰めていた心が
  息を吸ったとき
  叩きつけられるままに
  
  
    心が削られる
    心がたぶん砕かれている
    心は痛みを感じなくなっている
    心は痛みを与えたことに気付かなくなってしまっている
    心は心とは呼べないものになってしまっている
    

    もう
    アスファルトに叩きつけられてしまった
    花の残骸を
    花とは呼べないように


雨が削る
雨が砕く
花を削る
花を砕く
石を削る
石を砕く
アスファルトも
泥水の界面も
心も
界面も
界面を
削る
砕く
雨を
砕いている


自由詩 研粒なくとも雨は削る Copyright 北村 守通 2016-04-04 00:56:05
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