指折り数えるクリノリン
るるりら

そういうことか
海も空も
まるいんだ

どれくらい走ったろう
眼前には海があり
道端には 菜の花と桜が続いている
ふと 同じところを何度も通っているような気が
して
道はエンドレス
海岸線の花々は
あたかも姫君のドレスの裾模様

夜のとばりが落ちると
月は まるかった
いきものたちが はしゃいでいる
月光は天界への一本の道
道なのか未知なのか満ちなのかによって
活きているものたちは 海上にあらわれた月の路に
さざめいている
 これは  月の指差しだろうよ 
私にも宛てられている月の指差し
わたしも 結ばれてようとしている
月との ちぎり

いきとしいきるこころは、うきあがり
いのちの燈火は ゆらめいて なみもゆれ
たゆとうゆたゆた
満月から降りているかのような月光の路が まっすぐに
私に降りているよ
月光路を 感じずにいられるものは 私だけではないだろう
獣も草も 惹き付けられている

星々が わたしにも深謝の会釈する
と同時に
わたし以外のものたちにも
今 眼前にある光の筋があることを 私は悟った
いのちたち一つ一つに
海面の光の道があらわれているのだね

すべてのもののこころが見える方になら解るはずなんだ
いままさに無数の月光の道が
海面に あらわれている
満月の春
すべては 環をなすことを喜んでいる この時を
いきとしいきるこころたちは こころまちに
していたのだね
世界は
まるく
月筋を頼りに無数のいきものたちが
一枚の ドレスのように ふんわりと煌めきながら
ゆれている


※クリノリンとは※
クリノリンとは19世紀に流行した膨らんだスカートの下に着用された物です。下着の上からクジラのヒゲや鋼で作られたクリノリンと呼ばれる土台を装着し、その上から ドレスを着用しました。http://blog.livedoor.jp/yukiesaoharu/archives/57571326.html



自由詩 指折り数えるクリノリン Copyright るるりら 2016-03-28 01:23:16
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