玉葱色の眠り
石田とわ



     今夜わたしは玉葱を刻む
     包丁の切れ味は鈍いが
     こんな夜にはちょうどいい
     指先と玉葱と踊る包丁
     それだけを見つめ、不器用に
     ひとつ、またひとつ刻んでゆく
     刻まれてボールから溢れかえれば
     いつしかそこは玉葱色の海になる
     その中でなら眠りにつけるだろう
     つんとした匂いのなかでも
     夢は見られるのだろうか
     玉葱色の海でならば溺れても
     それはそれで幸せだろう















自由詩 玉葱色の眠り Copyright 石田とわ 2016-03-27 23:54:23
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