みかん
yaka
団欒の横
座椅子に座り
静かにみかんを剥いている
今日どこかへ出かけたことも
娘の顔も
忘れたよと笑う
テレビの映像は意味を失くし
新聞は取りに行くだけの紙になり
積み重ねてきた肩から
少しずつ湿度が抜けていきます
みかんは
昔から好きですね
娘の顔も忘れたけれど
みかんだけは変わらない
窓辺の日差しが
あなたを包んでいます
自由詩
みかん
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yaka
2016-03-27 17:10:00
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