賽の河原
イナエ

久し振りに訪れた賽の河原
幼子が鬼に虐められていないかと降り立てば
広々とした河原には鬼が一匹 所在曲げに石をつんでいた

おめえ 何やってんだ
子どもが少ないが 
まさか食っちまったのではないだろうな

 ああ びっくらこいた
 なんや お地蔵さんかいな やっとか目やなも
 食っただなんて 人聞きの悪い 
 そんなことできませんわ
 まあ 聞いとくりゃせ
 あそこに一人で石積みしとる子のことやがなも
 親に殴り殺されとか言うことやけど
 なんもしゃべらんで ひとりで石積んどるがな
 不憫で 不憫で見とられんわな

なんと 鬼の目にも涙かよ

 そんな冗談いってられませんがね
 おめゃぁさんの石頭で 親の頭かち割って
 針の山にでも連れて来てくりゃせ
 仲間の鬼どもにこづき回させ 
 血だらけにして 針の山登らせたいがな
 それよか 釜ゆでがええかな 
 ま 閻魔様が決めんさるこっちゃけど
 あの子は 早よ 極楽へ連れてってくんさい 
 親よりはやく死んだいっても 
 ここへ来る子やないがな
 あの姿見ていると
 こっちゃまで鬱陶しゅなって力抜けてまうがな



自由詩 賽の河原 Copyright イナエ 2016-03-22 10:31:52
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