片想い
ヒヤシンス
丘から見える遠い園生は純白に染まり、
私の吐息と重なって淡く輝いている。
手前に見えるロココ調の建築物はそれ自体が見事な絵画のように
緑一色の額縁で装飾されている。
丘の上にあるゴチック様式の建物は頽廃の匂いがする。
ここでの私の吐息は寂びれた灰のようだ。
街並みの傾斜がこの違いを生んでいる。
まるで季節から違うようだ。
冬の丘の上で春を見ている。
春に憧れて冬に生きている。
季節は巡るが心は冬に土着している。
美しい色に輝く遠い園生は、
永遠の恋人のようだ。
私は今、恋をしている。