なごり雪を聞いている
瑞海



暖かい春だというのに
今年は雪もそう見なかったのに
なごり雪を聞いている

私はいつ
強い私が欲しい
と思い込み始めたのだろう
本当に本当に
欲しかったものは
すぐそばにあったはずなのに

私はいつ
恋愛はろくでもないものだ
と思い込み始めたのだろう
本当に本当に
ろくでもなかったのは
わたしの心であるはずなのに




特にそれといったこともないけれど
グッド・バイ・マイ・ラブを聞いている

私はいつ
物事に優先順位を
付け始めたのだろう
大切かどうかは
わたし一人で決めることのできることでは
全くないのに

私はいつ
別れ際に振り返らない
女になるんだろう
きっとそうできたなら
後に涙を流すことももうないのに




塗り固められた「わたし」から
離脱する期間に
私はよく少し昔の歌を聞く
そのノルスタジィが
ひどく染み、貫くからである
どの曲よりもお気に入りなのである
カラオケの十八番にしたいのである






春が来る時に
綺麗な私であるように








自由詩 なごり雪を聞いている Copyright 瑞海 2016-03-18 02:39:02
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