蒼と青と藍の底で
乱太郎



奥深く海底の熱水床
わたしが今呼吸をしている処
群がる白い蟹は
わたしであるための遺伝子を
鋏で千切りまた繋げる

染色体を失った肉体だが透明ではない
保護色を身に着けたわけでもない
しかしわたしを見つけるのがどれ程困難な事か
わたしは長く知らなかったが
わたしは
わたしという鎖のみ
生き物と鉱物のどちらにも属さない

ひと科には永遠になれない
大きく発達した前頭葉
自己と他者を結びつける感情
有限に滅びながらも永遠への回帰

青い世界で生きているという
想像でしかない自由とか未来へとか
流れ落ちてきた巻貝が物語を響かせて
わたしを閉じ込めようとしたこともあった
白い砂浜へと

わたしは此処で
足も手もないそして口もない
人間と呼ばれていた太古の記憶は
もう忘れてしまいたい
美しかった想い出だけを抱いて


自由詩 蒼と青と藍の底で Copyright 乱太郎 2016-03-17 20:50:20縦
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