春の正体
Lucy
爛れ過ぎた夕陽が
一軒の二階の窓を
ギラリと択び
怯えた鴉が見上げた先に
規則的に並ぶ建築の
一面だけを
薄明るい色に染め
足元のザラメにも
一粒ずつ微かではあるが
予兆のように
反射する
直後
何事もなかったように
目を叛け
不吉な春の正体は
雪の下から
黒々と滲み出している
自由詩
春の正体
Copyright
Lucy
2016-03-15 21:52:39
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