恋する少女
オイタル

ゴムまりみたいに跳ねる少女
丸くて
黒くて
そして
薄いドアの深い溝の内側に住んで
朝の下駄箱の重い軋りを軽く弾いて
ゴムまりみたいに跳ねる少女

歯ブラシを銜えて笑う
マスクをつまんで歌う
それから
ゴムまりみたいに跳ねる少女

つまんだスカートみたいな
毛羽立つ襟首みたいな
そして
ゴムまりみたいな 跳ねる少女

小さくて オレンジの少女
半島への渡航を企てる少女
音たてて雨を飲む
恋する少女

明るい空気の中 丸くしたたか降る雪に
似ている少女 似ていない少女
こんなに真正面からじゃれつく少女
そして
ゴムまりみたいに跳ねる少女


自由詩 恋する少女 Copyright オイタル 2016-03-13 21:33:03
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