たんぽぽ花粉予報
竜野欠伸

幼いころの古びた靴は
シャベルよりも
ずっと小さくて、
土遊びをしながら
泥だらけで夕暮れに沈んでいた。
永くて遠い春はすでに
まなざしの向こうにあって、

冬を越えるたび
軽くうなずきながら
アスファルトから咲く。
かすかに揺れる
黄色い花びらは、

綿毛のついた種を
何処かの記憶へと
風とともに運ぶために散って逝く。
かすかに揺れる
黄色い花びらは、

柔らかい大地の
匂いがする季節に
くしゃみをするたび思い出す。
かすかに揺れる
黄色い花びらは、

もうずっと
この街で見かけてない。
小さな春を何処かに探しても
とても寂しい想いをするけれど、
くちびるにふれた
君の温もりに、
僕の切ない祈りが咲いていた。


自由詩 たんぽぽ花粉予報 Copyright 竜野欠伸 2016-03-13 20:25:08縦
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彼女に捧げる愛と感謝の詩集