人のない荒野のへりに
オイタル

三月の冷たい空
人のない荒野のへりに
胸を反らして 風を呼んでみた
新たな扉が鳴るかと見えたが
風はちっとも答えなかった

すぐに答えは
あると思った
脇腹の かすかな痛み
だが

風がなければ ないでよい
踏み出す足の歩幅を少し
先に延ばしてみようじゃないか

花が散るなら 散るでよい
こぶしの先に木の芽をひとつ
かすかに触れてみようじゃないか

人のない荒野のへりに


自由詩 人のない荒野のへりに Copyright オイタル 2016-03-12 23:06:49
notebook Home