航海
ヒヤシンス


 さて、私の航海はこれで何度目だろう。
 未だ明けきらない朝に、港の喧騒は透明だ。
 果物かごを抱えた婦人が通り過ぎ、
 口髭をたくわえた紳士に足音はない。

 静寂なのだ。
 この神秘的な静寂の中を一人、また一人と船へ向かう。
 せわしなく動く水夫の仕草もまた美しい。
 静かな人達に混じって私も足取り軽く船に乗り込む。

 その船の名は希望。
 目的地は輝ける明日。
 皆の想いは一つである。

 航海に先立つ心持ちは安穏で、
 私は白紙のノートに今日という日を書き込んだ。
 改めて、人は何度航海しても良いのである。
 


自由詩 航海 Copyright ヒヤシンス 2016-03-12 03:01:45
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