航海
ヒヤシンス
さて、私の航海はこれで何度目だろう。
未だ明けきらない朝に、港の喧騒は透明だ。
果物かごを抱えた婦人が通り過ぎ、
口髭をたくわえた紳士に足音はない。
静寂なのだ。
この神秘的な静寂の中を一人、また一人と船へ向かう。
せわしなく動く水夫の仕草もまた美しい。
静かな人達に混じって私も足取り軽く船に乗り込む。
その船の名は希望。
目的地は輝ける明日。
皆の想いは一つである。
航海に先立つ心持ちは安穏で、
私は白紙のノートに今日という日を書き込んだ。
改めて、人は何度航海しても良いのである。