ゆうやけ
はるな


ミサイルが飛んで落ちてまた昇るまでのあいだ、
くだらない冗談をひとつずつ言いあって
河原の小石をうめるようにしていた
川釣りのおじさんが面倒くさそうに餌を投げてくれる
もしかしたら彼もみかけよりは年寄りではなくて
わたしたちみたいにくすくす笑ってるかも
その証拠に色あせた帽子が揺れてるし、
指だってそんなにふやけてない
おかしいのは君に触れないことで
それってこれが夢のせい?てゆうか、これって
白紙に置いた夜のぬけがら 開いた本に挟まった夕日
手違いでやけに短いスカート 乾ききらないタイル
給水塔、それは鉄塔のとなりにあって さかさまをむくと青く焦げついてた
つたの洋館を通り過ぎて三叉路に出る、
かならずそこでかおみしりの猫に合う 四羽の鳩、いさかいの跡
右向け右でいつも一瞬遅れるくせ だれにとっての右なのかを、
クッキーの缶を開ける指と 踏まれた十円玉 おみくじ 蝉
海岸線によく似た背骨 濡れた座布団と座布団カバー いけすかない犬
祈りの消費期限がせまっている 箱をあける暇が無い
ふたたび猫と鳩 おいかける乳白色と鳩 帽子、そう
ゆうやけが昇るころ あたしたちはぜんぶたぶん嘘だ


自由詩 ゆうやけ Copyright はるな 2016-03-10 00:38:17
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