硝子の鳥籠
塔野夏子

空っぽの硝子の鳥籠に
早春の光が淡く虹色に差す

そうすると
わたしはうすい水色の服を着たくなる

――籠の外では生きられない
  華奢ないきものだったはずなのに

  でも囀りは 今でもきこえる気がする

  きこえる気がする
  ような気がしている
  だけかもしれないけれど

やがて空っぽの鳥籠を
ほのかにつめたい花びらの群れが通過する

そうすると
わたしはしずかな銀色の雨を待ちたくなる




自由詩 硝子の鳥籠 Copyright 塔野夏子 2016-03-09 22:42:11
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