コップ
はるな


いろんな花をつみながらあるいてきたね
あかるい花もくらい花も、つぼみも種も
ふりかえることもできないくらいいつもすべては近くにあって
コップはいつも割れそうに満ちていた
みちていた
そうとわからないほど完璧に

冬に 春に
コンクリート 新芽に
ビルや窓や くちばしの赤い鳥に
真っ白いくつ下 傘のはじいた雨に
信号に 夜中の電話に かなしみに、謂れのない悪意に
夕方のこうもりに、その淡い影に、
想像した恐怖に あるいは実在したむなしさに。



自由詩 コップ Copyright はるな 2016-03-09 01:15:21
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