ペンペン草田男(50)「おちよさん」
花形新次

おちよは
ペンペン草田男との
やり取りを何ら不審に思わなかった
自称詩人に有りがちな気持ち悪さに
慣れすぎていたからかも知れない
だからペンペンの
「会って詩について語りましょう」という
誘いにも気軽に応じてしまった

しかし、ペンペンには
自称詩人とは別の変態ペンペンとしての
顔があったのだ
ペンペンはネットで
善意溢れるヒト気取りの
オバチャン自称詩人を見つけると
その投稿にイイねを連発し
向こうが心を許すと
直接会うことを取り付け
一食おごって貰う算段なのだ
そして運が良ければ
一発やらせてもらおうとも思っているのだ
善意溢れるヒト気取りは
気取っている以上断れないことを
見越しているのだ

ところが、おちよには
危険を回避する
野生の勘があった
直前に不安が脳裏を過り
旦那と子供にも
一緒に来てもらうことにしたのだ
待ち合わせの喫茶店に
家族で現れたおちよを見て
ペンペンは激怒し、暴言を吐いた
「この腐れおまんこが!」
それは、普段の気色悪い
猫なで声自称詩からは
まったく想像もつかないものだった

ということで
皆さん注意してね!


(ペンペン草田男 貧乏自称詩集「雑草」より)


自由詩 ペンペン草田男(50)「おちよさん」 Copyright 花形新次 2016-03-08 20:59:17
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