ブレックファーストカース
塚本一期

明日
仕事に行きたくない
仕事に行かないで一日中
布団の中にいて
呪いをかけていたい

呪いをめいっぱいかけていたい
体がやせ細って動けなくなっても
呪いを一日中かけていたい

お休みを下さい
呪いが叶うまで
お休みを下さい
呪い続けたいので

呪いが叶わないと!
僕なんで仕事して、生きてかなきゃならないのか
わからないじゃないですか!
カフェオレたくさん飲んでも
美味しいだけですよ!
ただ
美味しいだけ!
呪いが叶わないと!
魚みたいな顔して仕事してるだけ!

呪いをかける時間を下さい
あともう少し
毎日毎日、呪える時間がなくて
困っています。
もう少し、呪わせてください。
もう少し、満足できるまで。

まだ呪いたい まだ呪いたい
まだ呪い足りない まだ呪いが足りない
まだ足りない それなのに
僕は眠ってしまうのです
明日のために
明日の忙しい仕事のために
朝カフェオレを飲んで 仕事に行くときは
まだ呪いたかったのに
とテーブルを撫でる
ドアのカギを開けながら
今ごろまだ布団の中にいて
呪えればよかったのに
と、心の中で呟いて
車のエンジンをかけながら
だんだん諦めて行く でも
呪いたかった呪いたかった
毎日呪いたかったという


自由詩 ブレックファーストカース Copyright 塚本一期 2016-03-06 21:30:45
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