さよなら春風
瑞海




春になったら

ブツブツ唱えていた

春になったら
もう覚悟を決めるのだと
シクシク泣いていた

春になったら
あなたは風の中走り去って
私の呼ぶ声に
振り向きもしないで

春になったら
暖かくなるから
陽に溶けた
声とか掌に
触れてみたかったのだけれど

これから
私の知らない誰かが
あなたの輝きを
目の当たりにしてしまうことに
少し妬いている

もう風は止んでしまったから
涙も自分で拭って生きるわ

さよなら春風
もう二度とかえらない

さよなら春風
暖かい日々は
私の光でした

大切なあなたが
ずっと暖かい人で
ありますように



自由詩 さよなら春風 Copyright 瑞海 2016-03-05 16:53:21
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