さよなら春風
瑞海
春になったら
と
ブツブツ唱えていた
春になったら
もう覚悟を決めるのだと
シクシク泣いていた
春になったら
あなたは風の中走り去って
私の呼ぶ声に
振り向きもしないで
春になったら
暖かくなるから
陽に溶けた
声とか掌に
触れてみたかったのだけれど
これから
私の知らない誰かが
あなたの輝きを
目の当たりにしてしまうことに
少し妬いている
もう風は止んでしまったから
涙も自分で拭って生きるわ
さよなら春風
もう二度とかえらない
さよなら春風
暖かい日々は
私の光でした
大切なあなたが
ずっと暖かい人で
ありますように