結婚式はふたりきりで
りゅうのあくび

故郷を遠くはなれて
というより
次の故郷をもとめて
家族はまだ
ふたりきりだけど
静かに暮らす日々が
永い冬の西日みたいに
遥かな春を望むように続いて


ふたりで
寝坊ばかりしていて
君が早起きして初めて
創ってくれた
会社勤めの僕に宛てた
手造りのそぼろ弁当から
顔を出すアスパラガスは
零れる君の笑顔の味がして
彩りも香りも遠い春が
まだほんのりとしている


結婚式の替わりに
ふたりぼっちの
写真をたくさん撮りに
行ってきたばかりで
晴着の君には
やっと春が爽やかに
色差す曙に
くちづけをした
紅が焦げるように
綺麗だったよ


いつもわかってくれていて
応援もお互いさまだけれど
本当にありがとう
花束とボトルワインを
お礼に贈ったら
家にはコルク抜き
何てまだなくて
ふたりで病気のこと
いつも心配をしていたり
ごめんなんて
言わなくても


会社の同僚に
のろける話題には
事欠かないと
笑顔で迎えられて
祝福されて嬉しかったけれど
君とずっと暮らし
きっと
ふたりきりで
乾杯の夢を叶えていく


自由詩 結婚式はふたりきりで Copyright りゅうのあくび 2016-03-04 19:31:28
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彼女に捧げる愛と感謝の詩集