罰と恩赦
日々野いずる

変えようのない過去を振り返らない事はない
ある日突然思い出し、ああ、と声を出し茫然とするだろう
自責に頭をも抱えるかもしれない
罰された思い出とともに蘇ったり
何者にも知られない秘匿として隠し続けるそれ
先にある許しの安寧はいずこへ行った

罰され許された気になっている人よ
罰されなくて自罰を科し満足しているものたち
結局はどちらも罰されていないし
許されてもいないのだ

忘却せよ全てを忘却せよ
忘却こそは許しであり
日々の積み重ねにそれを埋め
六十億人の記録に紛れさせ積み重ね
生きて些末な記録として処理せよ
膨大な記憶を背負って世界がどうしようもなくなった時
忘我の果てにある白痴にたどり着いた時
すべては恩赦を受け安寧の時を得る


自由詩 罰と恩赦 Copyright 日々野いずる 2016-03-04 07:49:29
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